幸せについて電極つないで考えてみた
マトリックスじゃないけど神経を電極につないで思考を認識することは
できるもんなんだろうか?
電気刺激で筋肉が動くのはガルバーニがカエルの足に電極つないだあたりから
明らかになったことだけど、この原理、実はちょっとややこしい。
2種類のイオン化傾向に差がある金属を、電解質入り水溶液に浸すと
ボルタ電池になる。
で、このボルタ電池、食塩水だろうがレモンだろうが人間の舌だろうが、
カエルの筋肉であろうが実現できる。
ある種の電池なめるとすっぱいが、亜鉛と鉄とか電極つないで舐めると
やっぱりすっぱい。
人間ってやつは電流をすっぱく感じるという仕様になっているらしい。
いずれにしろ、この電流がカエルの足を動かした、と。
ボルタたちは「物理的な現象じゃねぇか!生物は電気なんか発生させねぇ!」
と主張し、少なくともこのレベルではそれはある意味正しかった。
ところが…である。
さらに細かく見ていくと、まず神経は何かを伝達しているようである。
まず、レーヴィがカエル心臓を刺激して化学物質が放出されることを明らかにした。
他になんかないか調べることになったが、神経は細いんでふつうの神経だと
調べにくかったんだけど、イカの神経の中にやたら太いやつがある。
ぶっちゃけ指でつまめる。神経屋としてはそら大喜びですよ。
扱うのは簡単、しかも晩飯や酒の肴にもってこい。
生物学者が選ぶサンプルの中には、どう考えてもおまえそれ食いたいだけだろ
ってものが混じってなくもないような。ゲノム関連で言うならフグ。DNA実験用に鮭。
…牛や豚、鶏は逆にサンプル入手しやすい。
でもショウジョウバエは食わないだろ。
とにかく、イカの巨大な神経しらべていくといろいろわかってきたのだ。
細胞膜は電位差をもっているということである。
イカ神経の研究で、アラン・ホジキンとアンドリュー・ハクスレーらは、
こうして膜電位の存在を証明することでノーベル賞ゲッツ。
膜電位ってのは何で生じているかというと、細胞膜の外と内でイオン濃度の差が
引き起こされていることによる。
イオンチャネルによってNa+、K+といったイオンが細胞に取り込まれたり排出されたり
しているのだ。そして必要に応じて急激なイオン変化を引きおこす。
さておき、神経を電極につなぐといってもそんな簡単じゃない。
通常の神経はむちゃくちゃ細い。
なので、繋ぐにしてもちょっとした細工がいる。
電極ぶっ刺してヒャッホウ!ってわけにはちょっとイカないのではないか。
…そんな風に考えていた時期が俺にもありました。
神経ってわけではないが、細胞の電位を測定するのにパッチクランプ法ってのが
よくつかわれている。この研究でもノーベル賞が授与されている。
細胞膜の一部を小さなスポイトで吸って、イオンチャネルの電位変化を測定、
なんてことができるようになったのは1990年代…ではないらしい。
1930年代にはすでに日本人でそれやってた人がいるとか。
イオンチャンネルもパッチクランプもやっててノーベル賞取れないとかもうね。
TVといい八木アンテナといい、日本人の学者や技術者に対する冷遇っぷりは
昔からだったんだな。
実際のところ神経って奴はある程度再生するし、電気刺激も受け取れる、ので
きちんと繋げばちゃんと信号送れると。
神経と機械接続による義手もかなり高い水準で実現しているからすげぇよな。
現在、脳神経を電極に繋いでコントロールする方法(BMI:brain
machine interface)と
脳波などを機械で測定してコントロールする方法(BCI:brain
control interface)が
考案されている。
BMIは割とアメリカで頑張られている気がする。
Duke大ニコレリス教授らの研究がDARPAの支援で行なわれている。
ジョージア工科大では細胞と仮想環境の接続を行なっているようだ。
日本ではBCIのほうがいろいろ試されていて、ホンダや日立製作所が実験を
つづけている。実現にはまだちょっと時間がかかると思う。
電波や赤外線に対するステルスが恐ろしく高性能化してきたので、冗談のけて、
「いけっ!有線ファ○ネルミサイル!!」
みたいなのが使われる可能性ありそうだ。…人型兵器も小型ならありうる?
いろんな方法で神経と電極つないだとしても、何かのシステムを操作するには訓練や
リハビリが必要である。訓練してもうまく行かない人もいるだろうなぁ。
上手くいく人は軍事的に重宝されてフ○ガ兄さん!!!とか呼ばれたりするんだろう。
まして、電極から記憶を探るなんてのは現時点じゃ夢のまた夢だ。
個人的には押○さんの脳内を探ったらすごいことになると思う。いろんな意味で。
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